氏名: 助川 宏行 (289834201)

論文題目: 常微分方程式初期値問題における精度保証付き Picard 反復法


論文概要

 精度保証付き数値計算法は、数値計算面では数値計算結果の品質保証、数値シミュ レーションの信頼性、あるいは数学における計算機支援証明などとも関連して、近年 重要性が高まっている。 それに伴い、様々な問題の解の存在を数値的に検証する方法が求められている。 中でも、常微分方程式の初期値問題については多くの研究者達がその解の存在を数値 的に検証する方法を提唱し、その重要性が伺える。 本論文では Picard の定理を用いた常微分方程式初期値問題の精度保証付き数値計算 法を提唱する。

 算法の概要を説明する。 まず、FFT 数値 Taylor 展開法による近似解法(一種の陰的 Runge-Kutta 法)によ り多項式近似解を得る。 その際、疑似 Newton 法による反復解法を用いることにより,計算の簡素化と高速化 を図る。 ここまでは通常の数値計算である。 次に,誤差上界を計算する為、得られた多項式近似解に、精度保証付き近似 Picard 反復を1回行い、結果から修正量ノルムの上界を計算する。 そうして得られた修正量ノルムとPicard の定理によって、誤差上界を計算する。 この部分は丸め誤差に配慮し、区間演算を用いる。 本算法は,FFTにより計算が高速であり,並列化も容易である。 また,Taylor 展開をFFTにより遂行するため,自動微分などの特別なシステムが不要 である。


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