氏名: 櫛田 晃弘 (289634164)

論文題目: 3次元腹部CT像に基づく胃の仮想的展開像作成手法に関する研究


論文概要

本論文では3次元腹部CT像に含まれる胃を仮想的に計算機上で切開し表示する 手法について述べる。これまでに、3次元CT像の観察手法の一つとして仮想化 内視鏡システムが開発されてきた。このシステムでは、3次元CT像に含まれる 管腔臓器を抽出し、そのままの形状で表示している。しかし、臓器内壁の凹凸 を観察する場合、そのままの形状で観察するよりも、切開して観察する方がそ の凹凸を把握しやすい。また、病理の場においても摘出後の胃を切開して観察・ 計測を行なっている。そこで、本手法では3次元腹部CT像を変形し、その中に 含まれる胃を切開した状態の3次元画像を作成することにより胃の切開を行な う。具体的には、まず3次元腹部CT像より抽出された胃内壁面の形状をおおま かに近似し、ここでの近似図形とする。次に、得られた近似図形を平面上に切 り開くことにより切開した時の形状を作成し、ここでの展開図形とする。展開 図形の作成には座標を配置する方法 (手法A) と弾性モデルを用いて変形する 方法 (手法B) のいずれかを用いる。そして、近似図形と展開図形の対応関係 を利用して3次元腹部CT像を変形する。最後に変形された画像より胃内壁面を 抽出することにより胃の展開像を得る。本手法を実際の3次元腹部CT像に適用 した結果、手法A、Bのいずれにおいても得られた胃の展開像上でひだの形状を 良好に観察可能であることを確認した。
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