プロセッサの追加設計 5(jr 命令)と動作実験 6-2

実験の概要

本実験では、プロセッサの追加設計と動作実験を行う。これにより、プロセッサの追加設計の手順とプロセッサの動作の理解を目指す。 本実験では、jr 命令が未実装なプロセッサを例とし、追加設計を行い、両命令が正しく実行されるプロセッサを完成させる。また、その動作を実際に動作させて観察する。

プロセッサの追加設計 5

動作実験 6-1 の jr 命令が未実装なプロセッサについて、追加設計を行い、両命令を正しく実行するプロセッサを完成させなさい。 また、そのプロセッサと動作実験 6-1 の my_scan.bin を FPGA 上に実現し、その動作を確認せよ。

本実験を下記の 1, 2, 3, 4 の手順で行いなさい。
1. jr 命令のためのジャンプ・レジスタ・セレクト・モジュールの追加設計
2. jr 命令のためのメイン制御回路の追加設計
3. 論理合成
4. FPGA を用いた回路実現

なお、本実験で追加設計を行う jr 命令のアセンブリ言語は表 1 のとおりである。
表 1: jr 命令のアセンブリ言語
区分 命令 意味
手続きサポート(ジャンプ) jr rs PC = ra(ra は 31 番目のレジスタ)

また、本実験で追加設計を行う jr 命令の機械語は図 1 のとおりである。
jr
000000 11111 00000 00000 00000 001000
R 形式 6 ビット 5 ビット 5 ビット 5 ビット 5 ビット 6 ビット
31  26 25  21 20  16 15  11 10  6 5   0
図 1: jr 命令の機械語

1. jr 命令のためのジャンプ・レジスタ・セレクト・モジュールの追加設計

本実験では、動作実験 6-1 で動作を確認した jr 命令が未実装なプロセッサについて、追加設計を行う。

本実験では、プロセッサの最上位階層の Verilog HDL 記述 cpu.vを使用する。 cpu.v は、ディレクトリ mips_de2-115 内のサブディレクトリ MIPS 内にある。

ソースファイル cpu.v 中のコメント、追加設計 5 のヒント(1)〜(4)の周辺に、ジャンプ・レジスタ・セレクト・モジュールに関する記述を追加せよ。

2. jr 命令のためのメイン制御回路の追加設計

本実験では、動作実験 6-1 で動作を確認した jr 命令が未実装なプロセッサについて、追加設計を行う。

本実験では、動作実験 6-1 で使用したプロセッサのメイン制御回路の Verilog HDL 記述 main_ctrl.v を使用する。 main_ctrl.v は、ディレクトリ mips_de2-115 内のサブディレクトリ MIPS 内にある。

ソースファイル main_ctrl.v 中のコメント、追加設計 5 のヒント(1)〜(2)の周辺を、適切に変更せよ。

3. 論理合成

本実験では、追加設計後のプロセッサならびに命令メモリ、その他周辺回路の論理合成を行う。

論理合成には、追加設計後の main_ctrl.v と cpu.v、動作実験 6-1 で使用したその他プロセッサの Verilog HDL 記述一式、my_scan.bin から生成した メモリ・イメージファイル rom8x1024_DE2.mif を使用する。

追加設計後の main_ctrl.v と cpu.v を、プロセッサなど一式のディレクトリ mips_de2-115 内の、サブディレクトリ MIPS 内に置く。

更に、 ディレクトリ mips_de2-115 に cd し、my_scan.bin の rom8x1024_DE2.mif がそこにあるのを確認して、図 2 のように論理合成を行う。

quartus_sh --flow compile DE2_115_Default
図 2: quartus_sh を使ったプロセッサの論理合成

なお、論理合成には計算機の性能により 5 分から 20 分程度の時間がかかる。 論理合成が完了すると、ディレクトリ mips_de2-115 内に FPGA にダウンロード可能なプロセッサ等の回路一式のストリーム・アウト・ファイル DE2_115_Default.sof が生成される。

4. FPGA を用いた回路実現

本実験では、追加設計後のプロセッサの実際の動作を観察し、動作実験 6-1 で観察した結果との比較を行う。 本実験には、論理合成により生成された プロセッサなど回路一式のストリーム・アウト・ファイル DE2_115_Default.sof を使用する。 DE2_115_Default.sof を quartus_pgm を用いて DE2-115 ボード上の FPGA にダウンロードし、動作させよ。

プロセッサが実行するマシン・コード my_scan.bin はキーボードからの文字列入力を受けるプログラムである。 プロセッサにクロックパルスを次々送り、プロセッサにPC=0x0000 番地からの命令を実行させ、ディスプレイ下部に文字が 2 つ表示されるかどうかを確認せよ。 ディスプレイ下部に文字が 2 つ表示されるずである。

また、 動作実験 6-1 で確認された、動作実験 6-1 の 2 の 1, 2 で予想した結果と異なる動作について、その動作に変化がないかどうかを確認せよ。 動作実験 6-1 の 2 の 1, 2 で予想した結果と同じ動作になったはずである。

参考書


中村一博